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RSの足跡

RSの足跡

試作品(ぇ 第一話

Page1:ここに召喚されしモノ




 世界はどこまでも、どこにでも繋がっていると信じよう。
 この本に書かれたこと、全て本当だと思えるように。
 また・・・会えると信じて―

                  ☆ ★ ☆


 まだ何も知らない頃。
 俺は学校から家へ帰る途中で、少し考え事をしていた。
 なんで自分はこんな世界にいるのだろう?とか、目の前にいる奴は本当に存在するのか?とか。
 自分でも不思議なくらい変なことを考えていた。別にいつもこんなこと考えているわけじゃない。
 ただ、なんとなく、こう思ってしまうことがあるだけであって。
 まぁ・・・きっと普通じゃないんだろうな、と頭の中で思って別の事に切り替えたりもする。
 いつもそうやって、いつの間にか家にたどり着いていたんだ。
 でも、この日は違った・・・


                  ☆ ★ ☆


 
 部活延長にて身も心もボロボロな中学2年―大導寺 賓登は、今まさに生ける屍状態。
 頭には好きな歌の歌詞も、今日中に終わらせないといけないテキストのこともなく、ただベッドに早
く横たわりたい気分だった。
「今日から1週間これか・・・」
 などと口にしつつ、家路を歩いていった。
「・・・んぁ?」
 賓登は立ち止まった。いきなり目の前に黒いネコが現れたのだ。
 午後6時半過ぎ。辺りはかなり暗くなっていたが、その黒ネコがハッキリと目に映っていた。
 だが、賓登は別に気にしなかった。というか不吉だなぁと、思うくらいだった。
「ほれ。さっさと退いとけ。てか家に帰らせてくれ。」
 そして黒ネコに触れようとしたとき。
 一瞬、自分の体が浮いたような感じがあって・・・急に目の前が明るくなったんだ。


                  ☆ ★ ☆ 
 

 
「・・・は?」
 気づくと目の前にいた黒ネコはいなくなっていた。代わりにナイフ持ったでっけぇ男の人が居て、
周りの景色も緑に変わっていた。
 目の前のおっさんがキョトンとしていたがほっといて・・・いや、放っておくな。
 とりあえずここはどこだ?
 目の前のおっさんは誰?
 なぜに刃物?
 てか・・・どうなった?
 えーと・・・こういうときは人に聞けばいい?そうだ、そうしよう。
「あの・・・」
「貴方・・・誰ですか・・・?」
 後方から声がした。振り向くとそこには、どう見ても俺より年下の女の子がいた。
 綺麗なクリーム色の髪、赤い頭巾をかぶった女の子。
 変わった服装・・・今流行ってるのか・・・?
 相も変わらず混乱中な賓登だったが、女の子は構わず喋った。
「貴方はどこからきたのですか?いや、それよりなんで人間が召喚されたの?私は火の精霊の呼びかけ
に応えたはず・・・。でも、人間が召喚されるなんて・・・」
「待った!なんか途中から自問自答になってるし!とりあえずここがどこであのおっさんは誰で俺は何
でこんなところにいて・・・てかあの黒いネコは何!?」
 すっごい取り乱してると、自分でも思った。
 ここがどこで、自分は一体どうなったのか、全部知りたかった。実は夢なんじゃないかとも思った。
 女の子は俺が大声出したもんだから、かなり慌てふためいていた。
 そんな彼らをただボーッと見てた長身の男がふと我に帰り、
「へっ・・・なんだ、ただガキが一人増えただけじゃねぇか・・・。驚かせやがって。まぁ俺様をビビ
らせたお礼にその坊主から倒させてもらうぜ!」
「え?なんかよくわから・・・」
「うらあぁぁぁ!!」
「待てええぇぇぇ!!」
 勢いよく手に持っていた獲物を振り上げ、賓登に向かって斬りかかった!
「うぉ!?」
 間一髪、横に飛んで男の一撃を避け、そのまま全力疾走した!
(なんでいきなり襲い掛かってくるんだよぉぉ!?)
 などと心の中で叫びつつ、疾走する・・・が、
「遅いな。」
 横手から声がして、男は賓登の前に素早く回りこんだ。
「なっ・・・!?」
 賓登は絶句した。足にはかなりの自身があった彼だが、男はオリンピック選手並に早かった。
 獲物を構えながら寄ってくる男に賓登は後退り、もう一度逃げようとするが、
「無駄だ、次、後ろ見せたら・・・死ぬぜ」
 その言葉で彼は一歩も動けなくなった。
 男が目の前まで来て、獲物を振りかざす。
 賓登の脳裏には死の文字が浮かび・・・目を閉じた。
「あばよ」
 男の声が聞こえると同時に・・・悲鳴が上がった。


             続け!


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